神経疾患とは、脳・脊髄・末梢神経など、神経自体の病変、または筋肉自体の病変によって運動障害などをきたす疾患です。
神経系は非常に多くの身体機能を制御しているため該当する症状は多岐にわたります。
片頭痛は、中程度から重度の、脈打つような痛みやズキズキする痛みで頭の片側又は両側に生じます。しばしば身体活動、光、音、匂いなどによって悪化し、吐き気や嘔吐を伴ったり音、光、匂いに過敏になったりします。
片頭痛は、睡眠不足、天候の変化、空腹、感覚への過度の刺激、ストレス、その他の要因が引き金となって発生します。
痛みに対応する急性期治療と頻回に繰り返す場合には予防療法を行います。モノクロナール抗体による注射剤もあります。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは、手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん瘦せて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が主に障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉が瘦せていきます。
その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれることが普通です。進行に伴い経口摂取ができなくなり、呼吸筋力も低下し呼吸不全となり痰が出せなくなることも影響してきます。
まだ根本的な治療がなく状況により胃瘻等による栄養補助、マスクによる人工呼吸器、気管切開による人工呼吸器管理となることがあります。
多系統萎縮症(Multiple System Atrophy, MSA)は、中枢神経系の疾患であり、進行性の神経変性を特徴とします。障害を受ける部位により、自律神経機能障害、運動障害、錐体路症状、錐体外路症状などの様々な症状が出現します。
自律神経機能障害の症状には、起立性低血圧、排尿障害、便秘、喉の乾燥、多汗症などがあります。
運動障害の症状には、筋萎縮、痙性、筋肉の硬直、運動の不自由などがあります。
神経学的検査、神経画像検査(MRIなど)、自律神経機能検査、脳脊髄液検査などが行われます。また、臨床症状と検査所見を総合的に評価して診断が行われます。
まだ確立した治療はありません。症状に合わせて薬を使用していきます。経口摂取が困難な場合には胃瘻を造設したり、呼吸状態に影響があれば非侵襲的人工呼吸や気管切開による人工呼吸器管理を行うこともあります。
パーキンソン病(Parkinson`s disease)は、進行性の神経変性疾患の一つで、脳の一部である黒質の細胞が死滅することによって起こります。主な症状は、四肢の震え(振戦)、筋肉の硬直、運動の鈍化、そして姿勢の不安定感です。これらの症状は、脳内のドーパミンという神経伝達物質が減少することによって引き起こされます。
神経学的検査、神経画像検査(MRIやCT)などが行われます。また、臨床症状と検査所見を総合的に評価して診断が行われます。
治療には、薬物療法や理学療法が用いられます。薬物療法では、ドーパミン製剤やMAO阻害剤などが使用されます。また、手術療法である深部脳刺激療法(DBS)も行われます。